現代文たんブログ

現代文について考えたことなど。

現代文たんについて

現代文たんって?

 「現代文たん (@gendaibuntan) | Twitter」は、Twitterbotアカウントです。一定時間ごとに登録した文章を自動ツイートしています。「パラドックス」のような頻出用語の説明はもちろん、ちょっとマイナーな文学作品、「誤用」の多い日本語、エトムント・フッサールノエマまで幅広く扱います。中学生や高校生はもちろん、大学生や社会人の方もどうぞ。

 

このブログは?

 現代文について考えたことを気が向いたときに書きます。基本的には入試寄りの話です。読み方や解き方みたいな140字では伝えづらいことが中心になると思います。時間と需要があれば参考書のレビューとか入試問題の解説とかを書いてみるかもしれません。権利的に大丈夫そうな範囲で資料的なデータも置く予定です。いずれもたぶん受験生向けの内容にはならないと思います。

 

免責事項

 「現代文たん」は素人が趣味で運営しているものです。ツイートの登録やブログ記事の執筆にあたっては、可能なかぎり事前に調査し、細心の注意を払っているつもりですが、それは「現代文たん」のツイートおよび本ブログの内容の正確性等を保証するものではありません。これらが提供する内容によって生じた損害等に関して、一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。

 

現代文たんのスタンス
 そもそも現代文という科目はどれぐらい大切でしょうか。
 この科目で問われている能力が「文章を読み書きする能力」だとすれば、確かにそれは、他教科の勉強でも大学での勉強でも、何なら社会に出てからでも必要なスキルです。大切な科目だと言っていいでしょう。でも受験戦略上、現代文に集中するというのはどうでしょうか。
 志望校によっては、たくさん科目をやらないといけないこともあります。そんななか、国語で現代文が占める配点はたいてい半分ぐらいです。センター試験や共通テストのように一問の配点が大きくて、ちょっとのミスが痛手になることもあります。「国語の点数があと少し良かったら受験結果だって変わったかも!」という人はきっと少なくないのでしょう。その意味では確かに軽視はできません。
 でも、そう軽視できないのはべつに他の教科だって同じこと。そもそも綺麗ごとを抜きにすれば、現代文は勉強して素直に得点が上がる科目とも言いづらいです。できる人は最初からできちゃうし、そういうのを見ていると「もともとの頭の良さみたいなのがそのまま点数に反映されているのかなあ」と半ば諦めモードになっちゃう人も多そうです。「それなら他の科目をやったほうがよくね?」となる気持ちもよくわかります。というか、受験戦略的にはそれで間違っていないんじゃないかなと思います。わたし個人としては、現代文は足を引っ張らない程度にしておいて「逃げ」を打ったほうがいい、というのがいちばん正直なところです。
 
 けど、それで「じゃあ現代文なんかやらなくていいや!」っていうのもちょっと寂しい気がします。
 実際、入試で現代文の得点がよくて困ることはないでしょうし、たいていのことは、できないよりもできるに越したことはありません。どうせなら得意になって、安定して高得点がとれるようになるのがいちばんだと思うんですよ。それに、はじめにも言ったように文章の読み書きは重要な能力のはず。自分の考えをうまく言葉にできなかったり、相手の言葉をうまく汲み取れなかったりで「日本語難しいなー」とか思ったこと、誰しも一度はあるんじゃないんでしょうか。その意味では、勉強する必要性をまったく感じたことがない人のほうが珍しいのかもしれません。
 ただ、そういう必要に駆られた勉強ってあんまり楽しくないですよね。もっと明るく考えてみましょう。こんなことを言うのも気恥ずかしいですけど、どんな科目でも、勉強って自分の見えている世界を豊かにしてくれるものだと思うんです。現代文だったら、読みたかった本が読めるようになったり、歴史に名を残しているような文学の凄さがわかったり、自分で文章を書くのが楽しくなったりするかもしれません。そういうふうに勉強して知識や可能性が広がれば、きっと世界は違って見えてくるはずです。ひょっとしたら思いもよらないような出会いがその先に待っているかもしれません。
 とまあ、そんなこんなで「受験でそこまで力入れなくてもいいけれど、少しは現代文を勉強してみるのも悪くなさそうじゃん?」という、ゆるーい気持ちで作られたのが「現代文たん」です。日々の授業の復習になってくれたらいいなと思い、いちおう入試現代文によく出てくる言葉の解説とか、問題の解き方とか勉強の仕方とかをメインにしています。それだけじゃ物足りないかなと思って、他にも日本語の雑学とか、本を紹介するようなものとか、受験にはあまり関係のないツイートも登録しています。そういうツイートが皆さんにとって、ほんのちょっとでも言葉と親しむきっかけになっていただければ、運営者としては望外の喜びです。

 

オススメの現代文キーワード集

 月一ぐらいでなにか記事を書いておこうと思って、更新の進捗報告ついでに、オススメの現代文キーワード集の紹介でもします。

更新の進捗報告

 ようやく登録ツイートが250になりました。少ない。

 登録したいネタ自体はそれなりにあるんですけど、ツイートを書いているうちに「これってこういうまとめ方してよかったっけ?」「本当にこれこういう話だっけ」みたいになり、保留しているものが多くて……

 というわけで、学生時代ほどではないですが、本を読むようになりました。
 じつはここ二年ぐらい積読が増えていくだけで、全然読めてなかったんですよね。
 ひさしぶりの読書、けっこう楽しんでいます。(さっそくつまんない本にぶち当たったりしてしまいましたが、まあそれも読書の醍醐味かなと。)

 この作業も「科学論」「言語論」みたいに区切ってひとつずつ潰していくのがいいのかもしれませんが、それだと飽きちゃうので、読みたいものを読んでいます。さすがにもう少し効率化を図ってもいい気はするんですけどね。

 で、読書ついでに現代文の学参もひさびさにチェックしてます。

 そういうわけで、以下は現代文の学参ということでおなじみの「キーワード集」の話です。

現代文のキーワード集

 英語や古文に単語帳があるように、現代文にも単語帳があるんです。

 運営にあたって、なるべく多くのものに目を通していますが、これがけっこう面白くて。

 そもそもある程度専門的な文章を読むためには、ボキャブラリーが必要です。「具体/抽象」「絶対/相対」みたいな概念対はもちろんのこと、「他者」「権力」といった、術語というほどのものでもないけど重たい含みを込めて使われる言葉などがそれに入ります。
 文章を読むうえで、こういう言葉が躓きの原因になることも少なくありません。ほとんどの場合、書き手がいちいち説明を与えないからです。「これぐらい普通に「日常語彙」でしょ」とでも言わんばかりに、平然と使います*1

 このボキャブラリー、大きく分ければ三つになると思います。

(1)辞書を引けばわかる言葉・語句
(2)辞書を引いてもよくわからない、やや専門的な概念や術語
(3)辞書を引いてもこれといった説明が与えられているわけでもない、特殊な言葉・語句

 なかでも(3)が厄介なんです。(1)はそのつど辞書を引いたりして覚えればいいし、(2)はわかりやすい解説を探すことができます。けど、(3)に関してはそうもいかない。
 たとえば「契機」「市民」って言葉がどれぐらいの含みで使われるのかなんてのは、辞書を引いてもすぐには解決しません。本をたくさん読んだりして得られる経験知のようなもので、自覚的に学習することがやや困難です。(いまわたしが使った「経験知」という言葉も(3)に属す言葉かもしれませんね。)

 そこで有用なのが現代文のキーワード集です。(1)や(2)にあたる言葉を学習するのにも役立つんですが、(3)で大きな効力を発揮します。

 そういう視点で読んでみると、漠然とした経験知が整理・言語化されていって、けっこう楽しいんですよ。この概念をこれぐらい圧縮して説明してもいいのかという発見もあります。読むと簡単に教養が増えるのもいいですね。(良くも悪くも、あくまで「インスタント食品」みたいなものだと思っておいたほうがいいですが。)

 で、おそらくいちばん定評があるのはZ会『現代文キーワード読解』だと思います。
 2015年に改訂されて、内容のアップデートはもちろん、扱いのなかった小説の重要語についても新たに章が設けられました。細かいところで気になる部分はありますが、クオリティの高い教材です。

 もうひとつわたしが強くオススメしたいのは斎藤哲也編『読解 評論文キーワード』(筑摩書房)です。
 先ほども申し上げたとおり、けっこうたくさんのキーワード集に目を通しているつもりですが、率直に言って、評論文や論説文の語彙にかぎっては、これを越えたと感じるものにはまだお目にかかったことがありません。
 というのは、新しい内容に触れているという特色もあるのですが、それ以上に書き方、説明の組み立て方の「安定度」が頭ひとつ抜けているんです。経験知をすっきりまとめて言語化してくれていますし、背景知識的な論点に触れる際も偏りすぎず、典拠を示しながら(簡単な)歴史的背景に立ち入っており、読んでいる側としても安心できます。

 Z会のも良い教材なんですが、こちらももっと定番化してほしいなと思ってます。

*1:駿台の中野芳樹先生が『現代文読解の基礎講義』で示した「基幹知識」というのは、要はこの「書き手が平然と使用する重要語句」の存在を、背景知識とは区別してうまく言語化したものだと思います。

Twitterアカウントがロックされました

 ごめんなさい、プロフィールいじってるときに生年月日の欄をバカ正直にアカウント作成年に設定したら一瞬でロックされました……
 「あれ待って今のもしかしてヤバかったんじゃね」と思った瞬間には時すでに遅し。現代文たんは幼女とみなされてしまったのでした。

 再稼働早々こんな不甲斐ないありさまで申し訳ありません。可及的速やかに対処いたします。


 年齢要件のことなんかすっかり忘れてたよ……
 皆さんもお気をつけて。



【2019/6/8 15:47追記】
 念のためサブアカウントをつくりました。


【2019/6/10 23:08追記】
 なんとかアカウントロック解除してもらえました。
 ちなみに入力したかった日付は2011年12月22日です。アカウント取得はもうちょい前。訳あって情報が残ってないんだけど、おそらくこの日に稼働し始めたんじゃないかなぁ。

 フォロワーの皆さま、ご迷惑おかけして申し訳ありませんでした。引き続きよろしくお願いいたします。


 にしても記事一覧に「復活しました」と「アカウントがロックされました」が並んでたのちょっと面白くありませんでした??

復活しました

 そういうわけで復活です。

 現代文たん、ずいぶん長いこと放置されてました。ツイート内容を更新するのはたぶん5年ぶりぐらいです。たいへんお待たせしました。
 運営方針は「現代文たんについて」に書きました。
 この記事は再稼働(とブログの存在)の正式な告知が目的なので、これでおしまいにしてもいいんですが、いろいろと変わったというか変わってしまって、もしかするとちょっと戸惑っている方がいらっしゃるかもしれませんし、そこのあたりをもう少しだけご説明します。

続きを読む

資料:東大現代文の出典一覧(2000~)

東京大学の入学試験の国語から、いわゆる「200字作文」がなくなり、120字記述が導入された2000年以降の出典一覧です*1

*1:ちなみに東京大学が出典を明記するようになったのは2004年からです。それ以前の出典に関しては、教学社の「赤本」および駿台予備校の「青本」を参考に記載しました。

続きを読む